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【イベントレポート】音と楽器のひみつを探るワークショップ

【イベントレポート】音と楽器のひみつを探るワークショップ

2024年08月30日

2024年8月13日、横浜市青葉区民文化センター フィリアホールで開催された「音と楽器のひみつを探るワークショップ」をよきかな編集部で取材してきました。

 

■子供の好奇心がどんどん広がる!

 

「音と楽器のひみつを探るワークショップ」は、ソニーが社会貢献活動として継続的に行なっている子供向け教育プログラム「CurioStep with Sony」の夏休み企画のひとつで、楽器の構造や音が鳴るしくみをプロの演奏家と解き明かす、というもの。小1~6の子供と保護者を対象に、リアルとオンラインの同時開催で行なわれました。

子供たちは、ピアニストの中川賢一さんとヴァイオリニストの礒絵里子さんが披露してくださる音と楽器のひみつを、なんと壇上で体感できました。お二人のクイズを交えた解説や演奏が、目や耳だけでなく、その場にいなければ感じられない熱や振動でも伝わりますね。

(バイオリンの音が鳴るひみつは、弓の素材にもあった!)

中でも圧巻だったのは、調律師の外山洋司さんが、登場するなりスタインウェイ グランドピアノの鍵盤からハンマーまでの機構を取り外し、それを中川さんが子供たちの眼の前で弾くシーン。普段見えないピアノの内部を見られたのはもちろん、音が視覚化されたことで、子供たちもどんどん引き込まれている様子でした。

(えっ!鍵盤はそんなふうに取り外せるの!?)

「鍵盤」を叩くと「ハンマー」が持ち上がって「弦」を打ち、その振動が「駒」に伝わって「響板」が空気を振動させる ─ 音楽ホール全体に音を響き渡らせるピアノのしくみには、クラシック音楽になじみのない子供たちはもちろん、ピアノを習っている子供たちも知らないことや初めての体験がたくさんあったようです。

(モニター画面の映像は、オンラインで参加した子供たちにも。臨場感たっぷり)

音の鳴るしくみが分かったら、今度はステージ上と客席の中央、後方の3カ所へ移動して音の聴き比べ。500席のホール全体を使って、音の響きの違いを体感します。

(ホール内を移動する子供たち)

この1時間のプログラムで、中川さんと礒さんは計6曲を披露。体で感じる音の振動に加えて、一生懸命に取り組むアーティストの情熱、そして音楽の素晴らしさも、子供たちの心に響いたのではないかと思います。

(「ホール内の好きな場所で演奏を聴いていいよ」と言われて、一番人気はピアノの周り)

今回の「音と楽器のひみつを探るワークショップ」に参加した子供たちのうち、青葉区の子供たちがどのくらいだったかは公表されていませんが、受付終了前に定員に達していたとのことで、なかなかの狭き門だったかも知れません。

「残念ながら行けなかった」「知らなかった」という方は、当日の模様を収録した動画が配信されているので、ぜひ公式サイトから視聴してみてください。

会場には、お二人のトークや演奏をオンラインの子供たちに届けるビデオカメラが4台も!そのカメラワークもさすが映像のプロで、臨場感たっぷりです。

●「CurioStepサマーチャレンジ2024 音と楽器のひみつを探るワークショップ」

 動画: https://youtu.be/43C4gyHlTVI?si=TaLMOw5USJW-j32X

 

■ソニーグループ各社の強みを生かした多様な教育プログラム

 

「CurioStep with Sony」は、子供たちの好奇心(curiosity)が一歩(step)ずつ広がって未来へとつながっていく、その歩みをソニーのクリエイティビティとテクノロジーで伴走していこう、ということから名付けられたそうです。

知らないことを知る、好きなことを見つける ─ 子供たちが好奇心を育むきっかけの場として、ソニーグループ各社の強みを生かした様々なプログラムを展開しています。

今年の夏休み企画「CurioStepサマーチャレンジ2024」は、よりラインナップを充実させ、今回の「音と楽器のひみつを探るワークショップ」の他にも多数のワークショップを全国各地で開催。加えて、プログラミングツールのレンタルやコンテストなども行なっています。

(先生たちからの問いかけに積極的に答える子供たち)

実は今回の「音と楽器のひみつを探るワークショップ」、2年前にも開催されていますが、コロナ禍のためオンラインのみでした。

「実際の音楽ホールで生の楽器の音を聴く体験を追加したい!」

という思いで、今年はハイブリッド開催に。首都近郊で音楽ホールを探すにあたり、本企画に協力した公益財団法人ソニー音楽財団から、フィリアホールは「ホールの響きがいい」「施設が使いやすい」「スタッフの皆さんがホスピタリティにあふれている」というお話があって決まったそうです。

 

■クラシック音楽と地域をつなぐフィリアホール

 

イベント終了後(、予定はしていなかったのですが)、”みちくさ”が好きなよきかな編集部はフィリアホールのオフィスへ。ラッキーにも芥川館長がいらっしゃったので、少し立ち話させてもらいました。

(青葉区民文化センター フィリアホール 館長・企画制作統括 芥川純一さん)

聞けば、公益財団法人ソニー音楽財団は、フィリアホールで「Concert for KIDS(※1)」を主催されているそう。本記事を読んでいる方の中で、ご存知の方もいらっしゃるのでは。

まだまだ、クラシック音楽は敷居が高い、と感じる人も多いですが、フィリアホールはキッズ向けのイベントも多数提供しています。生の音が聴けて、芸術家とも触れ合える機会なので、ぜひフィリアホールのイベントカレンダーをチェックしてみてください。

そして、ここで書き加えておきたいのは、芥川さんをはじめフィリアホールの方々も皆さんすてきなんです!「よきかな」を運営している「スパイスアップ」は2018年、当時発行していたフリーペーパーで芥川さんに「クラシックとともに」という連載を書いていただいていました。加えて、Webでは芥川さんのスペシャルインタビューを掲載し、ご自身のクラシックとの関わりやフィリアホールの取り組みについてうかがっています。こちらの記事も合わせてどうぞ!

 

●スパイスアップ|【ローカルインタビュー(全3回)】コンサートプランナーに聞く

 https://spiceupaoba.net/archives/7947

 

芥川館長に、この日の「音と楽器のひみつを探るワークショップ」でピアノの鍵盤を取り外していたことを話すと、調律師の外山洋司さんは多くのピアニストの演奏を支えていらっしゃる方で、以前フィリアホールで開催されたトークショー&コンサート「『羊と鋼の森』を歩く(※2)」でも同様のパフォーマンスを披露された、と教えていただきました。やはりとてもすごい方だったのですね。

芥川館長、突然の訪問にもかかわらずお話を聞かせていただきありがとうございました!

 

<<<取材を終えて>>>

 

「音と楽器のひみつを探るワークショップ」のようなワークショップが、私たちが暮らすまちで開催されるのはとてもありがたいことです。会場には、演奏や調律だけでなく、司会進行や撮影など、たくさんの「プロ」が働いていました。大人が真剣に取り組むからこそ、子供たちの眼差しも真剣になっていったのだと思います。

よきかなでも引き続き、横浜市青葉区の界隈で開催されるイベントやセミナーと地域の皆さんをつないで、みんなの「よき♪」という思いの循環をつくっていければと思っています。


※1:今年2024年も3月に「Concert for KIDS ~0才からのクラシック(R)~」が開催されています。

※2:調律師が主人公の宮下奈都の小説。2016年本屋大賞受賞作。